「SDGs」って私たちにもできるの?
ここ数年、耳にする機会が増えた「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」「エシカル消費」という言葉。でも、「『エコロジー』や『LOHAS(ロハス)』みたいなもの?」「大企業のやることでしょ?」と思っている人も少なくないのでは? ここでは、今さら聞けないSDGsの内容と、私たちの暮らしを通してSDGsの実現に貢献する方法についてご説明します。
INDEX
今さら聞けない「SDGsって何」?
SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のこと。2015年の国連サミットで採択された国際目標で、「持続可能で多様性と包摂性のある社会」を実現するために、すべての国が取り組むべき課題です。「貧困」「飢餓」「保健」「教育」「ジェンダー」「水・衛生」「エネルギー」「経済成長と雇用」「インフラ、産業化、イノベーション」「不平等」「持続可能な都市」「持続可能な消費と生産」「気候変動」「海洋資源」「陸上資源」「平和」「実施手段」という17の目標が掲げられ、それらの課題を2030年までに解決することを目指しています。
「なんだか難しそう…」と身構えなくても大丈夫。たとえば、私たちの食生活を見直すことも、SDGsの実現につながっているのです。
牛肉の生産に必要な水は、ハクサイの257倍!?
たとえば、SDGsの目標のひとつ「水」。降水量が多く、水資源の豊かな日本に住む私たちは、日常的に水不足で悩むことはあまりありません。ところが、国連の「SDGs報告2021」によると、世界で23億人もの人が水問題を抱える国で暮らしているというのです。また、2030年までに水資源を確保するめどが立っていない国は、世界の129カ国にのぼるといいます。
こうした深刻な水不足と関係しているのが、畜産業。
たとえば、牛を飼育するには飲み水はもちろん、飼料となる穀物を育てるためにも、たくさんの水が必要です。牛1頭(約700㎏)からとれる食肉部位を約300㎏として、環境省の「仮想水計算機」で計算すると、必要な水の量は約6180t。
つまり、牛肉1㎏を得るためには、20.6tの水が必要なのです。
これは、
- お米(1㎏あたり水3.7t)の5.5倍
- レタス(1㎏あたり水0.17t)の121倍
- ハクサイ(1㎏あたり水0.08t)の257倍
などと、途方もない水の量であることがわかると思います。
また畜産業は、地球温暖化の主な原因とされる「温室効果ガス」とも関係があります。世界の農業活動で排出される温室効果ガスの量は、年間約54億トン。その66%は家畜生産に関するものなのです。とくに、牛のおならやげっぷにも含まれるメタンは、二酸化炭素と比べて25倍の温室効果があるとされています。
さらに、牛を放牧する土地や飼料を育てるため、森林伐採が行われることも。前出の「SDGs報告2021」には、「世界ではこの20年間で1億ヘクタール(日本の面積の約2.65倍)の森林が失われた」と書かれています。
とてもおいしい牛肉ですが、SDGsの観点からすると、あまり推奨できない食材といえるかもしれません。
植物性食品でSDGsに貢献
そこでおすすめしたいのが、植物性食品を中心とした食生活。最近では、プラントベースフードの開発も盛んに行われていますね。おいしく、ヘルシーで、環境にもやさしいとして、世界中で人気が高まっています。
「肉を食べないと栄養が偏るのでは?」と心配する人もいるかもしれません。動物性の食材には必要なたんぱく質が多く含まれていますが、植物性の食材である大豆や豆類、チアシードなどのスーパーフードにもたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルという、人間の体に欠かすことのできない5大栄養素のひとつで、健康のためには、バランスよく摂ることが大切です。動物性の食材を控えめにして、植物性の食材を増やしてみてはどうでしょうか?
そうはいっても「毎日肉が食べたい!」という人のために、大豆や小麦(グルテン)、えんどう豆といった、100%植物由来原料でできた代替肉も増えています。
植物由来の食材を中心とした食生活が、自分たちの体づくりだけでなく、「サステナブル(持続可能)な社会」の実現にもつながっている…。たとえばSDGsに取り組んでいるメーカーの商品を購入することでも、SDGsに貢献できます。そう考えると、なんだか食事がさらに楽しくなってきませんか?