災害と食-サプリメントの重要性
地震や洪水などの災害時には、食料品の調達が困難になり、栄養不足や健康問題が生じやすくなります。このような状況下においても、必要な栄養素を効率的に補給できるのがサプリメント。被災者の健康への影響を考えると、サプリメントの重要性はもっと見直されてもよいかもしれません。
INDEX
災害発生時の栄養問題
災害発生時は、命を守るための医療や避難が最優先になり、その後に重要となるのが食事です。食料品の供給が始まるまでは、一時をしのぐ非常食で数日を過ごすことになります。食事は生命活動のために重要なので、避難生活が長引くほど栄養問題が深刻化しやすいといえます。
避難所の食事は、カロリー補給を第一にするため、ごはん、パン、麺類などの炭水化物(糖質)が多くなりがちで、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しやすい状況が考えられます。供給されるお弁当には、高齢者には不向きな揚げ物や塩気の強いおかずが続く場合もあり、炊き出しがあっても全体的には食事の質が下がりやすく、栄養バランスが乱れるだけでなく、摂取量も不足しがち。とくに慢性疾患のある方にとっては、災害のストレスも加わり、食事の不便さが長引くことによって、病気を悪化させてしまうことも。
避難生活が長引いた場合に不足しがちな栄養素は次のとおり(表)です。
(表)不足しがちな栄養素
不足しがちな栄養素 | 摂取が減少する食品 |
---|---|
たんぱく質 | 新鮮な肉や魚、豆製品などのたんぱく質を豊富に含む食品 |
ビタミン | ビタミンが多く含まれる新鮮な果物や野菜、肉や魚などの生鮮食品 |
ミネラル | 乳製品や肉、魚、豆類など ・骨や歯の健康に必要なカルシウム ・赤血球をつくる鉄分 |
食物繊維 | 新鮮な野菜や果物、全粒穀物 |
サプリメントの重要性
サプリメントは、普段の食生活で不足する栄養素を補う目的で、商品設計されているものです。災害時におけるサプリメントの利用は、非常食だけでは補いきれない特定の栄養素を一定量補給し、健康維持の手助けになります。
また、非常食ほどではありませんが、サプリメントも比較的長期間保存ができるものが多く、調理を必要とせずに手軽に栄養補給ができます。災害時の健康管理や特定の栄養需要に応じて、さまざまな種類のサプリメントが利用できます。
「マルチビタミンサプリメント」
平常時の食生活で不足しがちなビタミンをバランスよく補給するものです。ビタミンには、免疫機能のサポートや骨の健康、皮膚や目の健康維持など、種類によってさまざまなはたらきがあります。
「マルチミネラルサプリメント」
カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルを補給するもの。ミネラルは、骨や血液の健康維持に重要なもの。カルシウムや鉄などは、平常時の食生活でも不足しがちなので、日常的に摂取したいですね。
「たんぱく質サプリメント」
最近は、高齢者に不足しがちなたんぱく質やアミノ酸を含有するプロテイン飲料やヨーグルトなどの食品が多くなっています。たんぱく質は、筋肉や臓器を作り、体の修復や免疫機能をサポートする重要な栄養素です。
「オメガ3脂肪酸サプリメント」
オメガ3脂肪酸は、青魚(DHA・EPA)やあまに油(α-リノレン酸)などに含まれます。
そのほか、スピルリナのような、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、オメガ3脂肪酸などを豊富に含んでいる栄養価の高いスーパーフードも災害時や災害対策の備蓄に活用したいサプリメントの一つ。保存性も高く、一度に多くの栄養素を摂取できます。
なお、サプリメントは固形や粉末タイプが多いので、水が必要になることも忘れないでおきましょう。
限られた食事で健康を守る
サプリメントは、栄養バランスの維持、健康状態の改善、そして避難生活の質の改善に役立つものですが、あくまでも補助的な役割であり、できればバランスの取れた食事から必要な栄養素を摂取することが理想です。
ただし、なかなかそのような健康管理ができないのが避難生活。こうした事態を想定し、限られた食事から栄養をどう補うか、自分の体にとって何が大切な栄養素なのかを日頃からチェックすることは大切です。災害が大きければ大きいほど、医療体制も行き届かなくなってしまいます。日常的に栄養を意識することで体調を管理することが重要でしょう。