美しいピンクのフラミンゴが食べているもの
フラミンゴといえば、美しいピンク色の羽をもっていますよね。でもこのピンク色はフラミンゴが生まれもったものではないんです。実は、その食事と深い関係がある、このピンク色の羽の秘密、知りたくありませんか?
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羽のピンク色を維持しているのが藻類
フラミンゴの種類のなかでも「レッサーフラミンゴ」と呼ばれる小型のコフラミンゴの繁殖地として、大変有名なのが中央アフリカ東部タンザニア連合共和国にあるナトロン湖。湖水のミネラル濃度がとても高く、ほとんどの生き物が生息できないそうです。ここでは毎年雨の降る季節になると藍藻(らんそう)類が光合成により繁殖し、その色素が湖を赤い姿に変えるため、「炎の湖」とも呼ばれています。絶滅の危機が心配されるフラミンゴが、継続して繁殖を行う唯一の湖としても知られています。
繁殖の季節になると、ナトロン湖には10万羽にもおよぶフラミンゴが飛来します。飛来したときは薄茶色の羽をしたフラミンゴですが、この赤い湖で暮らす間に、あの鮮やかなピンク色に変化していきます。
その秘密がフラミンゴの食べるエサです。湖の赤い色をつくり出している藻類などを食べることで、赤い美しい色に変わっていくのです。そのため、羽の美しいピンク色を維持するには、この藻類のような赤い色素を含んだエサが必要なのです。動物園にいるフラミンゴも、赤い色素を含むエサを与えないと、だんだんとピンク色が薄くなっていくとか。では、フラミンゴが食べているエサの正体をご紹介しましょう。
藻類って青緑色なのに、なぜ赤くなるの?
ナトロン湖のフラミンゴがピンク色をしているのは、エビなどの甲殻類やスピルリナなどの藍藻類に含まれるカロテノイドという色素が関係しています。フラミンゴだけでなく、スピルリナをエサに使うと金魚や錦鯉のウロコの深紅色がより美しくなることから、今では鯉の品評会などに入賞するためには欠かせない栄養源ともいわれています。
でも、「スピルリナ」って青緑色なのになぜ赤くなるの?
スピルリナを肉眼でみると確かに青緑色です。実は、スピルリナは大きく分けるとクロロフィル(葉緑素)、β-カロテンやゼアキサンチンなどのカロテノイド系色素、スピルリナ特有色素フィコシアニンといった3種類の色素をもっています。これらの色素はそれぞれ緑色、橙黄色、青色ですが、混ざるとスピルリナ独特の濃緑色を呈します。
赤色を呈するのは、主にカロテノイド系色素で、必要なときに体内でビタミンAに変化するβ-カロテンは、ニンジン、ホウレン草、ピーマン、カボチャなどの緑黄色野菜にも多く含まれます。また、もうひとつ、ゼアキサンチンというトウモロコシ、ホウレン草、マンゴー、鶏卵などにも黄橙色の色素が含まれていて、これは肉眼でみると黄色をしています。
さらに、植物の光合成に欠かすことができない緑色の色素がクロロフィル、そして、スピルリナの主要たんぱく質が、鮮やかな青色を呈する色素フィコシアニンです。これは貴重な植物由来の食用色素として、冷菓・氷菓・ガム・キャンディ・ねりわさびなどの着色に利用されています。
栄養素をバランス良くもった藻類
高温・強アルカリという特殊環境でも育つことのできる「スピルリナ」は、実はフラミンゴだけではなく、人が生きていくうえで必要とする栄養素をバランス良くもった藻類です。藻類のなかでも最も原始的な「原核植物」で、30億年以上の太古時代から、姿を変えずに存在しています。
ナトロン湖は強いアルカリ性で高温の塩湖です。スピルリナはこうした厳しい環境にも適応し、その過程で、豊富な栄養素を蓄えるようになりました。アミノ酸、ビタミン、炭水化物、ミネラル、脂質など、バランスに優れた50種類以上の栄養素を含んでいるのが特徴です。
また、スピルリナから熱水抽出した成分を精製濃縮したエキスも、近年注目されている素材のひとつ。多糖類を高濃度に含有しています。
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