植物の色はどこから?
植物は、花、葉、実などにさまざまな色をもっています。これは「色素」による色で、植物がもつ色素は、見た目を良くしたり、彩りを加えたりといった方法で、私達の食生活に数多く利用されています。近年はSNSなどに写真をアップする人が増え、見映えを良くするという需要も高まっています。今回は、植物特有の色素について見ていきましょう。
INDEX
植物の色を構成する色素
植物の花や葉、実などの色は、主にフラボノイド、カロチノイド、ベタレイン、クロロフィルの4種類の色素化合物で構成されています。
- フラボノイド(色:橙~紫~青)
- カロチノイド(色:黄~橙~赤)
- ベタレイン(色:黄~橙~赤)
- クロロフィル(色:緑)
これらのなかから、1つ、またはいくつかの色素を含むことで、黄色、橙色、赤色、紫色、青色などといった、さまざまな植物の彩りを形づくっています。
このように、色素が「色」を呈するのは、どのような仕組みによるのでしょうか? 色素は、その分子の構造によって、特定の波長の光を吸収して、残りの波長の光を反射します。この反射した光のうち、人間の目で見える範囲の波長の光が色として認識されます。
たとえば葉が緑色に見えるのは、葉に含まれているクロロフィルやカロチノイドが赤色や青色の光を吸収し、光合成で利用されない緑色や黄色の光だけを反射しているからとされています。
植物特有の色素ってなに?
植物の色素でよく知られているのは、アントシアニン、リコピン、フィコシアニンなどです。
<アントシアニン>
赤色や紫色の色素で、ブドウやリンゴ、ブルーベリー、チェリーなどの果実、ナスやシソ、紫キャベツなどに含まれます。また花の色も、その多くはアントシアニンによる色といわれています。
食品には、梅漬、紅生姜などの漬物や飲料、冷菓、菓子、ゼリーなどに利用されています。
<リコピン>
リコピンを多く含む代表的な野菜といえば、真っ赤なトマトです。赤色の色素で、すいか、ピンクグレープフルーツ、柿などにも含まれています。
耐熱性に優れ、水に溶けにくく、油などに溶けやすいという特徴があり、飲料や水産加工品、菓子類などに広く使われています。
<フィコシアニン>
自然界ではあまり見られない鮮明な青色が特徴で、スピルリナなどの藻類から得られ、光合成に関与する色素です。熱に弱く、低い温度で扱うのに適しているので、冷菓やゼリー、ケーキなど、加熱工程が少ない食品に用いられています。
また、この色素に、赤や黄の色素を混合することで鮮やかな緑、紫といった色が得られるため、冷菓、氷菓、ガム、キャンディー、ねりわさびなどにも利用されています。
料理や健康食材として使ってみよう!
おうちで過ごす時間がたっぷりある今、料理やお菓子作りを楽しむ人が増加しました。なかには、何か新しいことをしたくなっている人も多いのではないでしょうか? そんなときにチャレンジしたいのが、食品を楽しく彩ることができる植物色素の利用です。「人工的ではない色素で、こんなにきれいな色がつくんだ!」とびっくりするかもしれませんよ。
たとえば、色つきご飯を作ったり、お弁当をキャラ弁にアレンジしたり、クッキー生地やケーキの生地などに混ぜ込んで色をつけたり、想像力をフル活用してみましょう。いつもの料理をカラフルにグッと華やかにしてみませんか?
また、植物がつくる色素のなかには、健康や美容と深いかかわりがある色素もあります。ふだんの食生活にアントシアニン、リコピン、フィコシアニンなどの植物特有の色素をもつ野菜や果物、健康食品などを取り入れて、体の調子を整えるのもよいかもしれませんね。