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元気をつくるフード

スピルリナとクロレラを比べてみよう!

スーパーフードとして注目されているスピルリナとクロレラ。どちらも同じような緑色で、健康維持のためのサプリメントとして知られています。大きな分類では同じ「藻類」ですが、違いについてイマイチわからないという人もいるのではないでしょうか。そこで、今回はその特徴について、詳しくご紹介しましょう。

スピルリナとクロレラを比べてみよう!

藻類の誕生と歴史で比べてみる

藻類とは、根・茎・葉の区別がなく、必要な水や養分は体全体で吸収する生物。20〜30億年以上も前の、地球に海が生まれたときから存在し、過酷な環境の変化にも耐え抜いてきました。普段は水中で生活しており、光合成を行ってたんぱく質、炭水化物、脂肪酸、ビタミンなどの栄養分を自分でつくり出し、大量に増殖していきます。

まずは歴史からみてみましょう。スピルリナは約30億年前に、クロレラは約20億年前に誕生したといわれています。スピルリナは藍藻(らんそう)類に、クロレラは緑藻(りょくそう)類に分類され、顕微鏡でのぞくと、スピルリナはクルクルとしたらせん形、クロレラは球体と、同じ藻類でもその形はまったく違います。生存環境にも違いがあり、スピルリナは高温、強アルカリ性で生存できることがわかっています。

スピルリナが自生していたアフリカやメキシコの湖の周辺では、藻類として発見される以前から、スピルリナを食糧としてパンやスープに入れて食べており、数千年もの間受け継がれ、日常食になっていったという記録もあります。

一方、クロレラには食用の記録はなく、大量培養されるようになった1950年代頃から健康食品などで知られるようになってきたようです。

細胞壁に違いが! 消化吸収がよいのは?

スピルリナもクロレラもどちらも栄養バランスに優れていますが、摂取したときの消化吸収に優れているのはスピルリナ。その秘密はそれぞれの細胞壁にあります。クロレラの細胞壁は厚く硬いのですが、スピルリナの細胞壁は薄く壊れやすいため、細胞壁を壊す処理をしなくても、高い消化吸収率を示すことが確認されています。

栄養素を比較してみましょう。特徴的なのはスピルリナにβ-カロテンが多く含まれている点です。クロレラの3倍以上多く含まれており、スピルリナ4gで、β-カロテンを約7mg摂取できます。これをクロレラで摂ろうとすると12g以上に相当します。

また、スピルリナにはたんぱく質が55~70%と豊富に含まれています。そのほか高たんぱく質の食品と比べても、豆腐5%、牛乳3%、プロセスチーズ23%、牛ひき肉19%なので、いかにスピルリナの含有量が高いかわかるでしょう。ちなみにクロレラも55~60%と高たんぱく質です。

スピルリナやクロレラには、クロロフィル(葉緑素)、β-カロテンやゼアキサンチンなどのカロテノイド系色素が含まれますが、特筆すべきなのは、スピルリナには特有の植物性色素であるフィコシアニンが含まれていることです。この色素はスピルリナが属する藍藻類や、浅草のりなどが属する紅藻(こうそう)類などに含まれる色素たんぱく質で、鮮やかな青色を呈することから、植物由来の青色色素としてガムやアイスといった食品に利用されています。クロレラなどの緑藻類には、この青色は含まれていません。

光合成でグリコーゲンを生成するスピルリナ

スピルリナは植物と動物に分化する以前に誕生した生物と考えられ、動物と植物の特徴をあわせもつめずらしい生物といわれています。その理由として考えられるのは、「動物の体の中に蓄えて利用するもので、植物は利用しないグリコーゲンを、スピルリナが主要成分として持っていること」があげられます。

植物は光合成でデンプン(糖質)を生成し、 これを栄養素として蓄えています。しかし、スピルリナは光合成により、デンプンではなく、グリコーゲンを生成します。スピルリナが動物にしかないグリコーゲンを生成するのは、植物と動物に分化する以前に誕生したからかもしれません。植物であるにもかかわらず、動物にしかない特徴も持っていることが、スピルリナの神秘的な魅力といえるでしょう。


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