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藻類とは?植物の仲間?

日本人の食卓に欠かせないワカメやコンブ、ノリ。これらは「海藻」、つまり、海に暮らす藻類(そうるい)です。では、「藻類」とは? 植物の仲間なのでしょうか? そして、藻類と人類はどのようにかかわってきたのでしょう。

藻類とは?植物の仲間?

藻類は植物?

ひと口に藻類といっても、原核生物であるシアノバクテリア(藍藻)から、真核生物で単細胞生物でもある珪藻、黄緑藻、渦鞭毛藻など、そして多細胞生物の海藻類(紅藻、褐藻、緑藻)まで、実にさまざまです。藻類とは、水中で生活する植物のうち原始的なものの総称だと習った記憶がある方もいらっしゃるでしょう。

植物は、かつては、「光合成をして独立栄養で生きる生物」だと考えられてきました。つまり、その当時は藻類も植物の仲間。ところが、近年では、生物を「動物界」「植物界」「菌界」「原生生物界」「モネラ界」の5つに分ける「5界説」が一般的となっています。そのなかで、藻類は「植物界」ではなく、「原生生物界」に分類されていて、中学校理科の教科書でも、2012年度版から植物の仲間とはされていません。

5界説のほかにも、さらに細かく分ける6界説、ざっくり分類する2界説の時代もあり、生物の分類方法は年々新説が登場していて定まりません。明確なボーダーが存在するわけでもなく、そこが生物学のおもしろいところでもありますが、藻類は植物の仲間だと勉強した世代の方にしてみては、なんだか不思議な気分ですね。

藻類と人類のかかわり

人類が地球上に登場したのは数百万年前とされていますが、藻類はそれよりももっとずっと昔、およそ30億年前から存在し続けています。太古の地球の二酸化炭素を減らし、酸素濃度を上げた立役者は藻類です。また、中東で採掘される原油は、1~2億年ほど昔の古地中海で大増殖した藻類と、それを土台とした食物連鎖にかかわる動物プランクトンの死骸が海底に堆積し、変性したもの。藻類が存在しなければ、地球が生命の楽園になることはなかったでしょうし、人類の発展はなかったことになります。地味ですが、地球上の生命を連綿と支え続けてくれている藻類は偉大ですね。

また、日本では、食用にされてきた歴史もあります。701年に制定された日本最古の成文法典『大宝律令』に、租税として海藻が納められていたことが記載されています。当時は、ノリなどの海藻は貴重品で、身分の高い人しか口にできませんでした。ノリを食べる習慣が広がり、一般庶民もノリを食べるようになったのは、養殖されるようになった江戸時代からだそうです。

現代でも、日本の食卓にはワカメ、コンブ、ヒジキ、モズク、テングサ、アオサ、アオクサノリ、アオノリ、海ブドウなど、種類豊富な海藻が彩りを添えてくれます。毎日のお味噌汁、おやつの寒天、さらにヘルシーなおつまみにもなる優れもの。栄養も豊富で、これからも守っていきたい食文化です。

世界へ目を向けると、ほかにも藻類を食品として利用してきた国があります。紀元前、マヤ文明の時代から、「スピルリナ」が北米南部~中米の自生地周辺で食べられていたことが確認されています。スピルリナは、1960年代にその非常に高い栄養価が認識されたのち、昨今のスーパーフードブームで注目が高まってきています。

これからの暮らしにプラスしたい、スーパー藻類

日本スーパーフード協会が発表した2020年上半期トレンド予測では、スーパーフードランキングの第6位に「スーパー藻類」がランクイン。アメリカでは空前の海藻・藻類食品ブームだと伝えています。

スーパー藻類の定義はここには示されていません。が、その例としてスピルリナがあげられていることから、スピルリナは間違いなくスーパー藻類。確かに、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれていて、宇宙食としての研究も進んでいるというのですから、今後おとずれるかもしれない食糧難の時代にも希望の光をともすスーパーフードです。手軽に摂れるタブレットタイプなどは毎日の習慣に。また、料理に使いやすいパウダータイプは、パンに練り込んだり、ドリンクに混ぜたり、好みのいただき方を楽しみながら探して、これからの暮らしにプラスしたいですね。


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