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食の安全

食物アレルギーを知っておこう!

私たちが生きていくうえで欠かせない食事。しかし、特定の食べ物を食べるとアレルギーを起こしてしまう「食物アレルギー」をもっている方も少なくありません。食物アレルギーは小児から成人まで幅広い世代でみられるため、周囲の方が食物アレルギーのことをちゃんと理解しておくことが非常に大切です。

食物アレルギーを知っておこう!

食物アレルギーのメカニズムは? アレルギーを起こすとどうなるの?

アレルギーは、体に入ってきた異物を排除しようとして起こる免疫反応のひとつ。免疫反応と聞くと、かぜなどの感染症をイメージする方もいると思います。かぜをひくと、体内に侵入したウイルスや細菌(病原体)をやっつけるために、体温を上げたり、白血球を増やしてウイルスたちを殺そうとしたりします。これが病原体という異物に対する免疫反応ですが、病原体以外に過剰に反応することがあります。それが「アレルギー」で、代表的なアレルギーが花粉症です。花粉症の場合、体が花粉を異物と認識して免疫反応を起こし、花粉を追い出すために鼻水やくしゃみを出して応戦します。

食物アレルギーの場合は、食べ物、もう少し細かくいうと、食べ物に含まれるたんぱく質の一部(この原因物質をアレルゲンといいます)が、体にとって「異物」と認識されるわけです。

食べ物が消化されて、腸から吸収されるときに、体が特定のたんぱく質を異物だと認識するとIgE抗体という物質がつくられます。IgE抗体は、アレルゲンを捕まえる、いわば「さすまた」のようなもの(実際にさすまたのような形をしています)。このさすまたを、マスト細胞という「戦士」が持って、アレルゲンを捕まえます。アレルゲンを捕まえると、マスト細胞は、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出して、アレルゲンをやっつけたり追い出そうとしたりします。こうして現れるのが、アレルギー症状です。私たちにとって、アレルギーはつらい症状ですが、体は異物を除去するために免疫反応をはたらかせてアレルギーを起こすというわけなんですね。

食物アレルギーを起こすと、原因となる食べ物の種類によらず、次のような症状を起こすことがあります。

  • 食物アレルギーを起こすと、原因となる食べ物の種類によらず、次のような症状を起こすことがあります。
  • くしゃみ、鼻水、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ぜーぜー・ひゅーひゅーというような呼吸音)などの呼吸器症状
  • 目の充血、目のかゆみ、唇の腫れなどの粘膜症状
  • 吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状
  • 頭痛、意識障害などの神経症状
  • 血圧の低下、顔面蒼白などの循環器症状
  • アナフィラキシー(全身症状)

食べ物を食べてから短時間(30分~2時間以内程度)で現れることが多く、いずれの症状でも、すぐに病院に行って治療してもらうことが重要です。自己判断は非常に危険なので、絶対にやめましょう。

とくに注意するべき食べ物は?

食物アレルギーと聞いて、卵や牛乳、小麦あたりを思い浮かべる方は多いと思います。 実際、食物アレルギーのなかで重篤な症状を起こした数の多い食べ物TOP3が、卵、牛乳、小麦です。そのほか、そばやえびなどの甲殻類、ピーナッツなどがあります。
こうした食べ物については、対象原材料が使われている加工食品や、使われていない食品でも、同じ製造ラインなどで対象原材料が使われていたりする場合には、包装にその旨を表示するように定められています。
ただし、店頭で作られた惣菜や弁当などにはアレルギー表示の義務がないため、注意が必要です。

・特定原材料(7品目):表示の義務あり
卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば

・特定原材料に準ずるもの(21品目):表示が推奨されている
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

最近では、食物アレルギーに対して、スーパーフードやサプリメントなどで代用することもあるようです。ただし、個人で判断するのは危険ですので、必ず医師の指導のもとで適切なものを選択するようにしましょう。

食物アレルギーは検査でわかる? 薬で治すことはできる?

どの食べ物に対してアレルギーをもっているのかについては、検査で調べることができます。検査方法には大きく3つあります。

(1)経口負荷テスト
実際に疑いのある食べ物を食べて、症状が出るかどうかを調べる試験です。信頼性の高い試験ですが、アナフィラキシーなどの重篤な症状が出る可能性があるので、個人で勝手に行わず、医師の指導のもとで慎重に行う必要があります。

(2)皮膚テスト
アレルゲンの疑いのあるものを腕にのせて、皮膚に小さなキズをつけ、腫れが起こるかどうかを見る試験です。赤く腫れていれば陽性となります。

(3)血液検査
血液中に特定のアレルゲンに対するIgE抗体があるかどうかを検査したり、血液とアレルゲンを混ぜて実際にアレルギー反応が起こるかどうかを調べたりします。一度に複数のアレルギー検査を行うことができますが、あくまでも補助的な検査で、これのみで確定診断を行うことはできません。

薬などで食物アレルギーを根本的に治療する方法は、今の時点ではまだありませんが、経口減感作療法という治療法の効果が確認されているようです。
また、幼少期は卵や牛乳でアレルギーを起こしていたが、成長するにつれて起こさないようになった、ということもあります。
ただし、個人で判断するのは非常に危険なので、必ず医師の指導のもとで確認するようにしてください。
一方、幼少期はアレルギーがなかったが、大人になってから食物アレルギーが起こったということもあります。心当たりのある方は、ぜひ検査することをおすすめします。

食物アレルギーは、本人だけでなく、周囲の方の理解も重要な症状です。正しく理解して、健康的な毎日を過ごすために、適切に対応できるようにしましょう。


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