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「食」とフレイル予防 -栄養の重要性-

「食」とフレイル予防 -栄養の重要性-

高齢者の健康問題として近年注目を集める「フレイル」。今の自分にはあまり関係がないという人も、フレイルのことをよく知れば、元気なときの生活習慣に対する意識は大きく変わると思います。今回は、食事に焦点を当てて、将来の自分や家族のためのフレイル予防について考えてみましょう。

フレイルとはなにか?

フレイルは、日本語で「虚弱(frailtyが語源)」と言われ、加齢に伴い、身体的・精神的・社会的な機能が弱くなり、日常生活の自立度が低下した状態を指します。一般に健康な状態と要介護状態の中間の段階がこれにあたります。

フレイルの状態には次のようなものがあります。

<身体的虚弱>

  • 疲れやすい
  • 意図しない体重減少
  • 筋力や持久力の低下
  • 活動量の減少

<精神的虚弱>

  • 意欲低下
  • 抑うつ状態
  • 認知機能の低下

<社会的虚弱>

  • 社会とのつながりの減少
  • 孤立感の増大
  • 経済的困窮

フレイルのドミノ倒し現象

フレイルが恐ろしいのは、ドミノ倒しのように全体へと悪化しやすい点です。

フレイル状態になると、心が塞ぎがちになり、食欲も減り、さらに口腔の状態も悪くなって、十分な栄養も確保できなくなります。そこから、身体的な虚弱へと進み、社会とのつながりが減り、生活範囲が狭くなってしまうのです。フレイルの予防や改善には、こうした負の連鎖を食い止めることが重要です。

まずは予防することが第一ですが、フレイルになっても、適切な対策を講じれば元の健康な状態に戻ると言われています。しかし状態が進行し、要介護状態になると健康からはますます遠ざかっていきます。早期であればあるほど、健康な状態に戻れる可能性が高まりますので、早めに適切な処置を行いましょう。

フレイルの説明

フレイル予防のキーワード

フレイル予防には、①栄養、②身体活動、③社会参加の「3つ」が カギを握るといわれています。これらは互いに密接に関係しているため、うまくリンクさせて好循環をつくることが大切です。

① 栄養
食事はフレイル予防の基本であり、たんぱく質を中心としたバランスの取れた食事が重要です。また、食事内容だけでなく、口腔ケアも必要です。

② 身体活動
いつもより少し長く歩く、歩行速度を上げるなどで筋力低下を防ぎます。身体活動は心の健康にもつながります。

③ 社会参加
家族や友人とのコミュニケーションや、余暇活動などによる社会参加の機会を増やします。やりたいことを見つけてコミュニティに参加するなどもよいでしょう。

フレイル予防としての「食」の重要性

厚生労働省は「食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業(令和元年度)」のなかで、フレイル予防のための食事のポイントを明確に示しています。

フレイル予防のための食事のとり方として、
「1日3食とること」
「1日2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせること」
「いろいろな食品を食べること」
が、推奨されています。

自分で料理することが難しければ、宅食サービスやレトルト食品、スーパーのお惣菜コーナーを活用してみるのも良いかもしれません。

栄養素としては、筋肉や体のあらゆる組織を作るたんぱく質の積極的な摂取がすすめられています。例えば一食でも、魚、肉、豆類、卵、乳製品などをとり入れるなどに心がけましょう。ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜と果物もバランス良くとりたいものです。副菜に納豆や卵、デザートにヨーグルトやフルーツ、飲み物に豆乳や牛乳を追加するなど、すぐにでもできそうなことはたくさんありそうです。

さらに、食べる力を維持するために噛みごたえのある食品を食べることや、食欲を増進させるために家族や友人と共食することなども、フレイル予防の一歩として大切です。

フレイル予防にサプリメントの活用を!

食が細くなり、食事だけでは栄養が不足しがちな場合は、栄養バランスを整えるために、サプリメントの活用も検討してみましょう。必要な栄養素を補うために、プロテイン食品やビタミンD、カルシウムなどのサプリメントがおすすめです。 日常的に摂取することで、必要な栄養素を効率的に補うことができ、フレイル予防に役立ちます。

このように、できる範囲で「食」の改善に取り組みましょう。また、運動、社会参加なども並行して行うことは、健康寿命を延ばすことにつながります。

【本原稿で参考とした文献】

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